ねこけむり

イラストレーターさかもとすみよ(阪本純代)の、お仕事やイベントの告知など。
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企画展『少女小説』ご報告とおまけストーリー

(※諸事情あり24日付けの記事ですが公開は26日0:00です。)

ご報告が遅れましたが、スペースユイさんの企画展『少女小説』、無事終了いたしました。

<会期と会場はこちらでした>
青山 スペースユイ>2015/6/29〜7/8
(巡回展)横浜市 ユイガーデン>2015/7/13〜25
*スペースユイHPでの詳細ご案内はこちらです。

17人の作家が0号カンバス3点に「少女」をテーマとして自由に描く、というものでした。17人17様の絵が華やかな、素敵な展覧会になりました。お題ありきで絵を描くというのはイラストレーターの職能としてかなり大事な部分ですし、「17人のお題の消化のしかた」が一堂に並ぶという意味でも意義深かったかも。
おいでいただいた皆様、ご支援いただきました皆様、ありがとうございました。

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展示していた絵のうち1枚をUPしておきます。
「翼と腕」というタイトルでの連作でした。
ニジンスキーの生涯を描いた『牧神の午後』(作/山岸凉子)の「翼を持ったものには腕がない、腕がある者には翼がない」という言葉からインスパイアされて描いたものです。(ニジンスキーや漫画とは直接的には繋がりが無く、ただこの言葉だけからイメージを起こした感じです)

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そしてお運びいただいた方で、ご住所がわかる方にはお礼も兼ねてこちらの絵のポストカードをお送りしております。展示していたイラストの続編的な絵です。
以下は展示の絵と今回の絵を繋ぐ軽い物語です。なんとなくこういう世界観でした、ということで。


少女の翼からは羽がすっかり抜け、かわりにすんなりとした腕があらわれました。それは同時に、巣立ちの時を意味しました。

ほんとうに大事なものだけ、トランクにつめていきなさいと言われましたが、少女が選ぶものはほとんどすべて、おとなたちからすると大事なものではないというのです。
けっきょくあらかたおとなたちの言う通りのものをつめることになりましたが、少女は自分の選んだものも少しだけ、こっそりつめる事にしました。枕元にかざっていたかえるのぬいぐるみ、お気に入りの音楽をかなでるオルゴールの箱、ちいさなころに何度も読んだ絵本…。

何十年、何百年ものあいだ、たくさんの少女たちがはじめての船出をしてきた入り江に、しろい小船をうかべました。ロバが1頭、おともをすることがならわしです。
朝もやの中を船はしずしずと岸をはなれました。
ここからひとりでオールをこいでゆくのです。

最初はこいでもこいでも、進んだ気がしませんでした。
背中にはいつまでもふるさとの陸(おか)がおおきくはりついていて、このまま陸が見えなくなってしまうことなんて一生ないんじゃないかしら、とさえ思いました。
もちろんそんなことはなく、日が沈むまでこぎつづけた頃ふっとふりかえると、陸はいつのまにか見えなくなっていました。
凪いだ水面が、夕焼けの残り火にわずかに染まっていました。
ロバがぶるう、とためいきをつきました。



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★2015.6〜7 少女小説(企画展)★ | permalink | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |